引越しでも、模様替えでも、移動するのに一番大変で神経を使う家電は冷蔵庫ではないでしょうか?
専門業者に依頼して、縦向きに移動するのがベストなのでしょうけれど。
どうしても、どうしても、横にして移動しなくてはならないときは、どうしたら良いのでしょう。
横向きで運搬しなくてはならない時、なるべく故障のない方法や注意点を探ってみました。
目次
冷蔵庫は横に倒すと故障する?
横は基本はダメ
冷蔵庫は、横にすると故障の恐れがあります。
それは、冷蔵庫が冷たくなる仕組みにとても関係があります。
冷蔵庫は、液体が気体になるときに、周りの熱を奪う気化熱のしくみを利用しています。
冷たくするための冷媒のガスが、高い圧力と温度を持つ気体になり、さらに熱が抜かれて液体になったりして、細い管の中をポンプで循環しています。
冷蔵庫は、ざっくり言ってしまえば、エアコンの室内機と室外機をひとつにしたようなもの。
冷たくなるガスが細い管をぐるぐると循環しています。
冷蔵庫は、見た目より繊細な家電です。
冷蔵庫を横にしてしまうと、冷媒を循環させるための心臓部のコンプレッサーや、細かい配管がダメージを受ける可能性があります。
基本は縦で運ぶ
冷蔵庫は、基本的に、縦で運びます。
日本の住宅事情で、多少斜めにして運ぶこともありますが、短時間で行います。
冷蔵庫の下部には、コンプレッサーなどの重い機器が設置してありますし、冷媒のガスを安定させるためにも、立てて運ぶことが基本です。
横でしか運べない場合の注意点
短時間で済ませる
冷蔵庫は、縦に置くことが前提で設計されています。
冷媒を循環させるための心臓部、コンプレッサーも下部に固定され、振動防止の部品などが据え付けられています。
もともと重量のあるコンプレッサーを横にすることで、固定部分がずれて振動が大きくなったり、オイルが漏れて故障したりする恐れがあります。
コンプレッサー周辺に負担がかからないよう、横にする時間は短時間で済ませるようにします。
慎重に行う
移動の揺れが、重量のあるコンプレッサー付近の部品を破損させたり、オイルが漏れる可能性があるので、移動は慎重に行います。
前もって、移動が難しい箇所をよく確認しておきます。
運搬のパートナーとよくシミュレーションして、スムーズな移動を心がけましょう。
衝撃を与えない
冷蔵庫の背面や側面の壁には、冷媒のガスが入った細いパイプが、設置されています。
大きな衝撃などにより、この冷媒配管が変形したり破損すると、たちまち冷蔵庫の冷却機能が働かなくなる恐れがあります。
また、長時間の横積みは、本体の凹みや破損の原因になるほか、冷媒配管にダメージを与えることにもなりかねません。
どうしても横積みにしなければならない場合は、厚い毛布など緩衝材を使うなどし側面を下にして置きます。
冷蔵庫は、見た目よりも繊細な作りになっていることを心に留めておいてくださいね。
そのほかに冷蔵庫を運ぶ際の注意点
庫内を空にする
もともと重量のある冷蔵庫、なるべく軽くなるように工夫します。
冷蔵庫の中身を全てだし、必要に応じてクーラーボックスなどに収納しておきます。
その際に、庫内の清掃を済ませておくと、再稼働した時にスムーズに食品を収納できますね。
また、各トレイなど取り外せるものは取り外し、別に移動させるようにします。
庫内を乾燥させる
移動や作業が長時間に及ぶ場合は、作業の数時間前に、電源コードを抜いて動作を停止させておきます。
全てのドアを開け、庫内をしっかり乾燥させます。
運ぶ際に湿気がついていたら、布巾などで取り除いておきます。
電源プラグを外すタイミングなどは、各冷蔵庫により異なるので、取扱説明書で確認してください。
霜取りの作業を行う
霜取りの作業は、庫内にできた霜を溶かす作業です。
まずは取扱説明書を見て、霜取りが必要な機種かどうか、確認してください。
最近の冷蔵庫は、自動霜取り機能がついており、霜取り作業が必要ない機種もあるようです。
具体的な作業は、電源を抜くだけなのですが、全体のスケジュールにかかわるので先に確認しておきましょう。
夏は10時間、冬なら15時間ほどかかるようです。
水抜きの作業を行う
自動製氷の場合は、給水タンクや製氷皿の水を捨てて空にしておきます。
蒸発皿の水抜きについては、蒸発皿の場所や方法が各メーカーで異なるので、説明書を確認してください。
移動の際に、床が水で濡れないよう、保護のための毛布やシートなどを引くことをお勧めします。
ドアやコードを固定する
移動の際に、破損したり、邪魔になったりしないよう、各ドアや電源コード類は、テープなどでしっかりと固定しておきます。
移動後、すぐに電源を入れない
縦で運搬する際は、あまり神経質にならなくて良い部分ですが、横にして運ぶ場合は、少し気をつけていただきたいポイントです。
本来なら縦で移動すべき冷蔵庫を横倒しで移動させるため、冷蔵庫を循環しているガスや、オイルなどが、不安定になっている状態です。
横になっている状態から、立てて設置した後、すぐに稼働させると、故障する危険性があります。
少なくとも設置後1時間、気になる方は丸1日待って、電源を入れてください。
冷蔵庫は簡単に壊れる家電ではないという見解もありますが、調べてみたところ推奨される待機時間には幅がありました。
冷蔵庫はすぐに冷えない
冷蔵庫は、電源を入れてもすぐに冷えるわけではありません。
庫内が十分に冷えるまで、冬場で3-5時間、夏場なら10時間ほどかかります。
庫内が冷え切らないうちに、食品を収納すると、食品が痛んだり、冷蔵庫が冷えるのにさらに時間がかかったりします。
スケジュールに、冷蔵庫が再度使えるまでの時間も組み込んでおくことをおすすめします。
冷蔵庫を横に倒して運ぶ手順
事前準備がよくまとまっている動画です。
一人用冷蔵庫の梱包から運搬まで、実際に行なっているのでわかりやすいです。
前日まで
- 冷蔵庫の中身を空にして、クーラーボックスなどに収納しておく
- 庫内の清掃、トレイの取り外し
- ドアを開けて乾燥させ、水滴などがあれば拭いておく
- 必要があれば製氷機の停止
10-15時間前まで
- 霜取りの必要があれば、電源プラグを抜いておく
- 水抜き作業(製氷皿、蒸発皿の水を捨てる)
運搬まで
※最新機種など直前に電源プラグを抜いても良い機種もあるので、あくまでも取扱説明書に従ってください。
- ドアや電源コードの固定
- 養生(冷蔵庫本体、壁や階段など)
- 床などに毛布やシートを敷く
被せるだけで冷蔵庫の梱包が完了します。50L用。
運搬作業
用意するもの・あると便利なもの
- 背抜きの手袋(ゴム部分の多いもの、軍手はすべるので使わない)
- キャスター 平台のものや台車など
- 背負子
- 毛布 下に敷いたり、滑らせるのに便利
- 冷蔵庫を運搬する通路に毛布などの保護シートを敷く
- 冷蔵庫下部のカバー(ベースカバー)を外し、左右の調節脚を上げる
- 前後の移動は2で露出させた、4箇所についた車輪を使って行う
- ドア側を上にして(ベルトなどでしっかり固定)、背面と底にある移動用の取手を持って倒しながら持ち上げて行う。急に持ち上げると腰の負担になるので注意する。
再稼働まで
- すぐに電源プラグを入れず、最低でも1時間、気になる方は丸1日立てておくことを推奨します。
- 冷蔵庫が十分に冷えるまで4-5時間待ち、食品を収納する。(特に夏場は冷えが安定するまで半日から1日かかります。)
整理してみると、横倒しでの運搬を終えてから、冷蔵庫が冷えて食材を収納できるようになるまで2日はかかりますね。
野菜室や冷蔵庫など、電源プラグを入れたらすぐに、収納できる機種もあるようですが、冷凍庫は半日ー1日待つ必要があるようです。
取扱説明書を参考にしてくださいね。
●食材の計画的な消費→運搬の事前準備→実際の運搬→再稼働の準備→再稼働・冷却→食材の収納
プロに任せるといくらかかる?
お持ちの冷蔵庫の取扱説明書の確認、移動元と移動先の間取り、養生のこと、お天気(いいに越したことはありませんね)、などなど、細かいことを考え出すと、プロに任せてしまっても良いかもしれないと思ってしまいます。
冷蔵庫のサイズや、移動距離にもよりますが、室内移動で3,000円〜、50kmの移動で〜30,000円ほどのようです。
養生アイテムの購入や安全性などよく検討するためにも、一度専門業者に問い合わせてみても良いかもしれません。
業者さんにお願いするにしても、事前準備は行わなくてはいけないので、しっかりスケジュール調整をしてくださいね。
冷蔵庫を横で倒して運搬したら冷えが悪い場合
故障する原因
横倒しで、冷蔵庫を運搬したために起こる故障原因として
- 衝撃や振動などで、コンプレッサーの位置がずれて振動音が大きくなった。
- 横倒しにより、コンプレッサーのオイルが漏れて、冷媒の冷却機能が低下してしまった。
- 冷蔵庫の細かい配管が破損や変形して、冷媒が循環しなくなった。
- 再稼働時に、冷媒のガスやオイルが、不安定なまま電源を入れてしまった。
などが考えられます。
故障かどうか確かめる方法
電源を確認する
横倒しで運搬した場合、冷却機能が安定するまで、最低1時間、気になる方は丸1日ほど待機し、電源を入れるようにします。
電源を入れ忘れていることがあるかもしれません。
初歩的なことですが、電源を入れることを忘れていないかどうか、確認します。
設定を確認する
気温や室温が高いのにも関わらず、節電設定になっていると、十分に冷えないことがあります。
適切な温度設定かどうか、確認します。
電源を入れてから十分冷えるまで待ったか確認する
冷蔵庫が冷えるまでに4-5時間かかります。
冷える前に、食材などを収納すると、冷蔵庫が冷えるまでにさらに時間がかかってしまいます。
放熱がきちんとされているか確認する
冷蔵庫の上部や、排気口付近に、ものが置いてあると、十分な放熱ができないことがあります。
また、ほこりなどで排気がうまく行っていないと、放熱がきちんとされないことがあります。
冷蔵庫の背面や、床周りを綺麗に掃除して、排気がうまくいくようにしましょう。
設置位置は適切か確認する
冷蔵庫の設置場所に、スペースがきちんと取れているかどうか確認します。
直射日光や、熱源の近くに設置しないようにします。
テレビの近くなどに置くと、テレビの映りが悪くなる可能性があります。
正常な稼働音なのか、異常音なのか確認する
冷蔵庫の取扱説明書などに、冷蔵庫の正常な稼働音か異常音かを聞き分ける目安などが記載されています。
わからない場合は、カスタマーセンターに問い合わせると良いでしょう。
故障した場合は?
冷蔵庫は生活必需品ですから、早く使えるようにならないと困りますよね。
保証書や取扱説明書などを確認し、保証期間内かどうかや、故障時の適切な対応を確認します。
購入した電気店に問い合わせたり、メーカーのカスタマーセンターに連絡して、具体的な対処法や修理への流れについて問い合わせます。
傷みやすい食材は、クーラーボックスに収納したり、早めに食したり、または処分します。
故障した場合、食材は速やかに処理するようにしましょう。
ドアの開閉を控えて冷気が逃げないようにすれば、なまものや卵などは3時間程度は大丈夫です。
食材を放置すると、臭いの原因になるので注意します。
冷蔵庫の修理や買い替えに時間がかかる場合は、レンタル家電という選択肢もあります。
冷蔵庫は決して安い買い物ではありませんので、当面の処置にレンタル家電を検討してみても良いかもしれません。
冷蔵庫を縦にして運ぶ手順
冷蔵庫の運搬について、ポイントごとによくまとまっている動画です。
事前準備
- 庫内にある食材を全て取り出し、クーラーボックスなどに収納する。
- 霜取りの必要がある機種は、電源プラグを抜き、霜取りを行う(夏場で10時間、冬場で15時間ほどかかる)
- 電源プラグを抜き、水抜きを行う(製氷機の水や氷、蒸発皿の水を取り除いておく。蒸発皿の位置はメーカーにより異なる。)
- ドアを全て開き、庫内を乾燥させる。
- 水分のある場合は、拭き取る。
- トレイなど取り外せるパーツは全て外し、別に梱包する。
- 時間があれば、庫内の清掃を行う。
移動の準備
- 移動経路を確認・シミュレーションする。
- 移動箇所で必要な場所に段ボールや、緩衝材などで養生する。
- 移動経路に、傷予防、水濡れ予防にシートや毛布を敷いておく。
- 冷蔵庫のドアが開かないように、養生テープなどでとめる。
- ジャバラなどで冷蔵庫を保護する。
●用意するもの
- 背抜きの手袋
- 毛布や緩衝材
- ベルト
- ジャバラ
- キャスター台など
- 冷蔵庫を滑らすせるためのクッションや軍手
移動
- 運搬の際は、2人以上で行い、移動用取っ手を持つ。
- 正面に1人、背部に1人立ち、一気に持ち上げずにドア側を上にして少しずつ後ろに斜めにして行く。
- 下部が持ち上がったら、キャスターや毛布を下に滑り入れる。
- 下に引いた毛布などを利用し、少しずつ滑らせる。
- 段差は、持ち上げなくてはならないので、腰を痛めないように注意する。
- 階段やスロープは、後ろに少しずつ倒して、ドア側の足が持ち上がったら、足の部分を持ってゆっくり持ち上げる。
設置と再稼働
- 冷蔵庫指定のスペースを開けて、所定の位置に設置する。
- 直立で運搬した場合は、数時間待たずに電源を入れても構わない。(待機時間0から5分、7分などメーカーや機種により異なるので取扱説明書を確認してください)
- 庫内の冷気が安定するまで、半日ほど待つ。(夏場は10時間、冬場は5-6時間程度)機種によっては、野菜室や冷蔵室はすぐに収納可の冷蔵庫もあるので、お使いの冷蔵庫を確認してください。
まとめ
『冷蔵庫は横倒だと故障するの?横に倒して運搬する時の注意点を徹底解説!』
いかがでしたか?
冷蔵庫の横倒し運搬は基本NG
- どうしても横倒しで運搬するときは、故障しないようにしっかり注意して行う
- 横倒しで運搬し再稼働する際は、電源プラグを入れるまで、数時間から1日の待機時間が必要
- 大型の冷蔵庫の場合は、それなりの装備を用意し、無理せず、専門業者に依頼することも検討する
- 霜取り作業、電源プラグを入れるタイミングは、スケジュールに大きく影響するので事前によく確認する
お使いの冷蔵庫が、どのようなタイプかにより、横倒しで運搬できそうか、そうでないか、事前によく検討していただきたいと思います。
大切な冷蔵庫、運搬はとても大変ですが、怪我のないように、作業くださればと思います!
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最後まで読んでいただきありがとうございました。