私達の生活の中で、一番、身近な飲料容器といえば、「ペットボトル」だと思います。
どこでも買う事ができるし、持ち歩くのにも便利。
家で使う時には、大きなサイズも選べます。
しかし、毎日新しいペットボトル飲料を買っていると、お財布に少しずつダメージが来るのも事実…。
そんな時、「ペットボトルを洗って使い回せば、経済的でお得だね!」と、誰もが一度は思った事があるのではないでしょうか。
でも、その方法、危険だとも言われているのはご存知ですか?
本記事では、ペットボトルの使い回しについて、詳しく解説したいと思います。
目次
ペットボトルの使い回しとは?
まずは、「ペットボトルの使い回し」について、確認しておきましょう。
これは、「本来、飲み切ったら捨てるはずのペットボトル容器を、洗浄し、別の飲み物を入れて再利用すること」です。
「本来、飲み切ったら捨てるはず」と説明しましたが、これは、ペットボトルが使い捨て前提の製品であることに理由があります。
ペットボトルは元々、中身を何度も入れ替えて再利用することを想定して、作られてはいません。
つまりは、一回ずつ使い捨てるための構造になっています。
ここが、使い回し前提の「水筒」や「ピッチャー」などの製品との違いです。
そんなペットボトルを使い回すことは、問題ないのでしょうか?
使い回しの危険性
結論から言うと、「ペットボトルの使い回しは危険!」です。
その理由は、使い回しをしていると、ペットボトル内に細菌が増殖するリスクがあるからです。
ペットボトル飲料は、製造過程で内容物や容器が殺菌され、無菌状態で充填されます。
だから、開栓していなければ、常温で長期間の保存ができるんですね。
しかし、一度、キャップを開けると、同じ保存はもうできません。
少しずつ細菌が内部に入り、中で増殖してしまうからです。
特に夏場など、菌が活発に活動する高温の時期は、未開封から飲んだとしても、数時間で菌が増えてしまう事もあります。
そんなペットボトルを使い回すと、さらにリスクが高まります。
その理由を、もっと詳しく見ていきましょう。
内部をきれいに洗えない!
上でも説明した通り、ペットボトルは使い捨てを前提に作られています。
何度も使い回すための構造には、なっていません。
それは、たとえば「洗いにくさ」という点でも、はっきりしています。
ペットボトルは、口が小さくて、内部が洗いにくいですよね。
手はもちろんですが、普通のスポンジやブラシだって、中に入れる事ができません。
それだけではなく、ペットボトルは形が複雑で内部がデコボコしています。
デコボコの隙間や陰は洗いにくく、汚れがたまりやすいのは言うまでもありません。
むしろ、こんなペットボトルを、きれいに洗う事の方が難しいでしょう。
また、使い回す人の中には、「水でしっかりすすげば大丈夫」という方もいますが、菌は水で流すだけでは取れません。
次の飲み物を入れれば、その中でまた菌は増え始めてしまうのです。
熱湯消毒ができない!
内部に手が入らなくても、しっかり消毒すればいい、という意見もあります。
しかし、消毒がしにくいのも、ペットボトルの難点です。
消毒と言えば、簡単で確実なのは「熱湯による熱殺菌」です。
しかし、ペットボトルに熱湯消毒は使用できません。
なぜなら、ペットボトルの素材は熱に弱いからです。
通常のペットボトルだと50℃程度、耐熱用のペットボトルでも85℃程度で、PET素材がやわらかくなり、変形してしまうのです。
熱湯消毒ができないとなると、消毒用の洗剤や薬品を使いしかないのですが、直接口に入るものを入れる容器ですから、強すぎる薬品を使いたくはないですよね。
このように、消毒と言う観点からも、ペットボトルは難しい一面があるのです。
口をつけて飲むことが多い
これは、一人用のペットボトルに関してですが、多くの場合、みなさん口を直接つけて飲んでいると思います。
しかし、この飲み方は、菌の増殖をスピードアップさせてしまうのです。
と言うのも、人の口の中には、常在菌と言ってたくさんの菌がいます。
口を直接ペットボトルにつけて飲むと、わずかずつでも、口の中に入った飲料の逆流がおきますので、菌がペットボトルの中に入りやすくなります。
未開封の状態から飲み始め、2時間程度で飲み切る場合であれば、口をつけて飲んでも特に心配はありません。
菌が増殖する前に、飲み終わってしまうからです。
しかし、ペットボトルを使い回し、毎回口を付けて飲んでいると、口から移った菌がどんどん増殖してしまいます。
うーん、理由を見れば見るほど、「ペットボトルは使い捨て前提」だというのが、よく分かる気がしますね。
各メーカーの注意喚起
ちなみに、各メーカーや団体でも、ペットボトルの使い回しは推奨していません。
それは、各社のホームページなどでも、しっかりと注意喚起されている事から分かります。
例えば、「サントリー」のホームページの「お客様センターQ&A」では、
「中味が空になったペットボトルは再利用してもいいのでしょうか?」
という質問に対し、
「雑菌などが入り不衛生になる場合がある」として、「水筒代わりに使用しない」と注意書きがされています。
メーカーとしても、中身を詰め替えた後の「使い回しペットボトル」の安全性には、責任が持てないという事でしょう。
それでも再利用するのなら、気を付けるべきこと
という訳で、基本的に、「ペットボトルの使い回しは、しない方がよい」というのが結論と言っていいでしょう。
しかし、それでも「どうしても再利用したいんだ」という方に向けて、せめて、ここには気をつけるべき、という内容をご紹介したいと思います。
ただし、ペットボトルの再利用をするのは自己責任となりますので、後悔をしないよう、慎重に判断してくださいね。
口をつけずに飲む
まずは、飲み方からです。
使い回しを前提にするのなら、初めからペットボトルに口をつけずに飲みましょう。
口をつければ、内部の菌の量が格段に増えてしまいます。
細菌の数が多ければ、増殖のスピードも上がってしまいますからね。
少しでも菌の流入を防ぐために、口をつけずに飲むようにしましょう。
常にコップなど別の容器に小分けして飲むほか、「インド飲み」という口をつけずに飲む方法をマスターするのも良いかもしれません。
「インド飲み」など、ペットボトル飲料の飲み方については、こちらの記事でご紹介していますので、参考にしてみてください。
可能な限り、冷蔵庫で保管する
これは、持ち歩いて使う場合には難しいですが、例えば大きなサイズのペットボトルを、家庭でピッチャー代わりに使い回している時などに、ぜひ行ってほしい方法です。
菌は、夏場の常温などでは活発に増殖しますが、温度が低くなると活動が鈍くなります。
よって、使い回しているペットボトルは、できるだけ冷蔵庫で保管しましょう。
重曹や漂白剤など、殺菌作用のある洗い方をする
ペットボトルは洗いにくく、多くの場合、水や洗剤ですすぐだけになりがちです。
これに加えて、重曹や漂白剤など、殺菌作用の強い方法で洗い、少しでも菌を減らせるようにしましょう。
重曹や漂白剤を水で薄めた溶液に、漬け洗いするのも、ある程度の効果が見込めますよ。
完全に乾かしてから、次の中身を入れる
水分が残っていると、菌はそれを栄養に増殖してしまいます。
よって、洗った後はできるだけ早く、完全に乾かしましょう。
とはいっても、ペットボトルは口が小さく、なかなか乾きませんよね。
そこで、ペットボトルをできるだけ早く乾かす方法を、こちらの記事でまとめています。
家にあるものでできる方法から、便利なグッズまで、様々な方法をご紹介しているので、ぜひ、参考にしてみてください。
●ペットボトルを乾かす最も早い方法は?グッズ・手作り両方紹介
再利用回数の上限を決める
これが、もっとも大事な事かもしれません。
ペットボトルの使い回しは、回数を重ねれば重ねるほど、除去しきれない細菌がたまっていくリスクが増えます。
また、単純にペットボトルの強度としても、変形や破損のリスクがでてきます。
そこで、「使い回しは、~回まで!」という上限を、自分で決めておきましょう。
節約やエコロジーも大切ですが、食中毒などになってしまっては、病院代や薬代の方が高くついてしまいます。
使い回しをする場合でも、その回数をしっかりと自己管理して、少しでもリスクを減らすようにしましょう。
まとめ
今回は、ペットボトルの使い回しについて、ご紹介しました。
個人的には、使い回す際の消毒したり乾かしたりといった労力を考えると、そこまで高いものでもないので、新しいものを買ってしまうだろうな、と思います。
食中毒が怖い、というのもありますけどね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。