軽くて丈夫な飲料容器といえば、「ペットボトル」です。
キャップをしめられるので、持ち運びにも便利ですよね。
中には、一度使っても捨てず、別の飲料を入れて再利用している人も多いのではないでしょうか。
そんな時に注意したいのが、ペットボトルは熱湯に弱い、という事実です。
冬に熱々の飲料を入れたい時や、消毒のために熱湯を入れようと考えている人は、ちょっと待ってください。
本記事では、ペットボトルの耐熱温度や、熱湯を入れた時にどうなってしまうかをご紹介していますので、ぜひご覧になってください。
目次
ペットボトルに熱湯は大丈夫?
ペットボトルに熱湯を入れても大丈夫なのか。
この疑問には、二つの落とし穴がありますので、注意が必要です。
それは、「ペットボトルと一口に言っても、種類によって違いがあること」。
そして、「熱湯と一口に言っても、温度によって違いがあること」。
これらの違いを考えずに、単純にペットボトルと熱湯の関係は表せません。
では、上記の落とし穴をふまえて、ペットボトルに熱湯を入れても大丈夫なのか、見ていきましょう。
「耐熱用」のペットボトルならOK
ペットボトルには、いくつかの種類があり、それぞれ特性があります。
主な飲料用のペットボトルには、以下の4種類があります。
●無菌充填用ペットボトル(薄くて軽い普通のペットボトル)
●耐熱用ペットボトル(熱に強い!)
●耐圧用ペットボトル(内側からの圧力に強い!)
●耐熱圧用ペットボトル(熱にも圧力にも強い!)
4種のペットボトルのうち、「耐熱」と入っているものが2種類ありますよね。
読んで字の通り、これら「耐熱」のペットボトルが、熱に強いタイプになります。
これらのペットボトルであれば、通常のペットボトルよりも、熱い飲料に対する耐熱温度が高くなっているのです。
しかし!
だからといって、「じゃあ、耐熱用のペットボトルなら、沸騰したばかりの熱湯を入れてもいいんだね!」とは考えないでください!
落とし穴の二つ目を、次の章でご説明します。
「熱湯」は何度までOK?
「耐熱用」という名前がついていると、「よほど熱に強いんだな」と思ってしまいますよね。
しかし、ペットボトルの「耐熱用」は、おそらく皆さんがイメージするほど耐熱温度は高くありません。
種類 | 耐熱温度 |
通常のペットボトル | 50℃程度 |
耐熱用ペットボトル | 85℃程度 |
私はこれを知った時、「え? 耐熱用って言うくせに、これくらいなの?」と驚いてしまいました。
そうなんです。
耐熱用ペットボトルでも、その耐熱温度は85℃程度。
沸騰直後の100℃のお湯は、アウトなんですよね。
耐熱用ペットボトルであっても、80℃程度のお湯までしか入れられないのです。
「熱湯」の捉え方は人それぞれだとは思いますので、「100℃じゃなければ熱湯じゃない!」という人も、いるかもしれません。
ですが、あえて結論としてまとめると、80℃程度の「熱湯」であれば、耐熱用ペットボトルにいれるのはOK、という事になると思います。
耐熱用のペットボトルの見分け方
ペットボトルの種類によって、熱湯(80℃程度まで)を入れられるかが変わるのなら、「耐熱用」のペットボトルを見分けなくてはなりません。
でも、この見分けは、とても簡単にできるのです。
一つ目の見分けるポイントは、「キャップ」です。
回して開けるキャップがオレンジ色なら、そのペットボトルは「耐熱用」です。
下記のようなペットボトルのことです。
オレンジ色のキャップは「ホット飲料」の目印なので、ペットボトルも耐熱用になっているという訳です。
しかし、耐熱用ペットボトルは、実は「ホット飲料」以外にも多く使われています。
それを見分けたい時には、「ペットボトルの口部」を見ましょう。
「口部」とはキャップの事ではありません。
キャップを外した後の、ペットボトルの先端部分のことです。
この口部が白色であるなら、そのペットボトルも「耐熱用」で決まりです。
下記商品のようなペットボトルですね。
なぜなら、ペットボトルを耐熱用として加工する際に、口部分が白くなるからです。
例えば、「果汁飲料」など、意外な飲料のペットボトルが、耐熱用になっていたりしますよ。
<耐熱用ペットボトルの見分け方 まとめ>
●キャップがオレンジ色。
●もしくは、口部が白色(この場合、キャップは何色でもよい)
耐熱用じゃないペットボトルに熱湯を入れるとどうなる?
耐熱用のペットボトルであれば、一定の温度までの熱湯に耐えられますが、通常のペットボトルに熱湯を入れると、どうなるのでしょうか。
耐えられる温度を上回るわけですので、無事ではいられない気がしますよね。
調べてみると、やっぱり大変なことになってしまうようです。
縮んで変形する?
耐熱温度を超える熱湯を入れた場合、ペットボトルは縮んだり、変形してしまいます。
ペットボトルは、プラスチックでできていますが、プラスチックといっても様々な種類が存在します。
ペットボトルに使われているのは、「温度が上がると柔らかくなる性質」を持っているプラスチックです。
だから、耐熱温度を超えると柔らかくなり、縮んだり、重さで変形してしまうんですね。
実際に、熱湯で縮んでいくペットボトルを、こちらの動画でご覧いただけます。
お湯を入れた瞬間から、どんどん縮んでいくのが分かりますよね。
一方、下の動画では、ペットボトルを湯せんした結果、気持ち悪いくらい変形してしまったペットボトルが見られます。
このように、耐熱温度を超える熱湯を入れると、ペットボトルは変形してしまいますので、止めておきましょう。
また、実験してみたいという方は、くれぐれも熱湯の取り扱いに注意して、自己責任で行ってください。
有害物質が発生?
ペットボトルと熱湯の関係を調べていると、あちらこちらで目にするのが、「有害物質が溶け出す」という内容です。
いわく、「ペットボトルが変形する時、湯の中にペットボトルに使用されている有害な物質が溶け出し、人体に影響を与える」というんですね。
そんなことを言われると、「お湯じゃなくても、普段から溶け出しているんじゃ…」と心配になってしまいます。
ところが…。
この事についてさらに調べてみると、どうやらデマ情報のようですね。
ペットボトルから溶け出した物質で、人体の影響が出たという話はどこにもありません。
また、各メーカーも自社のホームページ上で、「ペットボトルに有害な物質は使用されていない」と、明確に否定しています。
ペットボトルを使っていると有害物質が溶け出てくる、という心配はいらないようですね。
ペットボトルごと温めるのはあり?
ペットボトルの中に、熱すぎる熱湯を入れると、変形してしまう事が分かりました。
それなら、ペットボトルと中身ごと温めるのなら、よいのではないでしょうか。
例えば電子レンジを使えば、冷たくなってしまったホット飲料も、温められそうな気がします。
しかし、残念なことに、ペットボトルは電子レンジで温めてはいけないのです。
それは、破裂や変形の恐れがあるからなのですが、例外のペットボトルもあったりします。
詳しくは、こちらの記事でまとめていますので、ぜひご覧になってくださいね。
●ペットボトルを電子レンジで温めるのはNG?対応商品はないの?
ペットボトルで湯たんぽは作れる?
ここまで、ペットボトルに熱湯を入れると変形してしまう、など、危険な面を多く紹介してきました。
しかし、ペットボトルとお湯の組み合わせは、上手に使うと便利な時もあるんです。
例えば、ペットボトルを使って、冬を温かく過ごせるアイテム「湯たんぽ」も作れてしまうんです。
詳しい作り方は、こちらの記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
●湯たんぽの代用品とカバーの作り方!家にあるもので簡単に自作できるよ
上記の記事はご家庭にあるものでの湯たんぽの作り方を解説しています。
ペットボトルを消毒する方法は?
この記事を読んでくれている方の中には、ペットボトルを熱湯で消毒したかった、という方もいると思います。
消毒と言えば、熱湯による熱殺菌が確実ですよね。
しかし、熱に弱いペットボトルに、熱湯消毒はできません。
となると、ペットボトルの中を消毒するには、どうすればいいのでしょうか。
おすすめの方法は、「重曹」や「液体漂白剤」を使った漬け洗いの方法です。
重曹や液体漂白剤を水で薄め、漬け洗いすることで、洗浄だけでなく殺菌まで行う事ができますよ。
重曹は一晩、漬けておいてもよいですが、漂白剤の場合、においが残る事もあるので、短めの方がよいでしょう。
まとめ
今回は、ペットボトルと熱湯の関係について、ご紹介しました。
便利なペットボトルですが、熱に弱いという弱点を、うまくカバーして使う必要がありますね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。