暖かくなってくる時期に見かけることが多くなる昆虫として、
『カメムシ』
がいます。
悪臭を放つ昆虫として、あまり好かれていないものですが、
『ある意味、季節の風物詩』
として、その知名度は高いものとなっているでしょう。
そんなカメムシですが、身近であるとは言っても、
『普段から何を食べて生活しているのか』
については、あまり知られていません。
そこで、今回は、
『カメムシの餌にはどんなものがあるのか』
について紹介します。
カメムシの習性を知って対策を立てるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
目次
カメムシの餌は身近なものが多い
カメムシが、普段から餌にしているものは、
『身近なものが多い』
とされています。
そのため、何か特別なものを食べているわけではないのですが、身近であるがゆえに、
『作物を荒らす害虫』
として、農家などからは嫌われているのです。
それでは、一体何を餌にしているのかを紹介していきます。
稲はよく餌にされている
カメムシがよく食べる作物として挙げられるのは、
『稲』
があります。
カメムシ全般に言えることですが、大抵の個体は、
『イネ科の植物を好んで餌にする』
ことが多く、これが農家から嫌われる理由となっているのです。
カメムシは、その習性から、
『餌を食べるのではなく、口吻(こうふん)で刺してから吸う』
ため、植物に穴が空いてしまいます。
そして、稲における最も重要な籾(もみ)を吸われることで、
『出来る米が、茶色になってしまう』
のです。
これでは売り物として扱うことができなくなるのですが、稲には大量のカメムシが寄るため、
『害虫』
としての認識が、ほとんどの農家でなされています。
特に、大量に集まるという点が、
『カメムシの習性』
でもあるため、余計始末に負えないというわけなのです。
せっかく育てた作物を荒らされてしまっては、嫌うのは当然だと言えるでしょう。
稲を餌にするカメムシですが、特に狙ってくるとされているのは、
- アオクサカメムシ
- クロカメムシ
- ミナミアオカメムシ
- コバネヒョウタンナガカメムシ
などがいます。
カメムシが、稲の籾を吸っている様子は以下のようになります。
こうした被害を少しでも減らすために、農家では、
- 防虫ネット
- 農薬散布
- 木酢液散布
などを行っています。
果実全般も餌にされることが多い
カメムシの餌は、稲だけではなく、
『果実全般』
にも及びます。
被害がある果実としては、
- ウメ
- モモ
- スモモ
- ナシ
- ビワ
- ナシ
- カキ
- カンキツ
- ミカン
などがあります。
これらの果実に口吻(こうふん)突き刺して吸うのですが、吸われた部分は、
『色が変色して柔らかくなる』
ため、正常なものと比べて品質が落ちてしまいます。
果実において、品質が落ちるということは、
『売り物にならなくなる』
ということに繋がり、売れたとしても、その価値は下がってしまうのです。
特に、高級果物を販売している農家にとっては、
『死活問題となってしまう』
ため、対策は十二分に行われているのです。
実際にカメムシによって果実を吸われた跡が、こちらになります。
このように、
『吸われた部分が変色している』
様子が見られた場合、カメムシが餌として果物を吸った証拠となるのです。
果実を吸いやすいカメムシとしては、
- クサギカメムシ
- チャバネアオカメムシ
- ツヤアオカメムシ
などがいます。
植物・野菜もカメムシにとっては格好の餌
カメムシの餌の大部分を占めるのが、
『植物』
となります。
カメムシは、基本的に、
『栄養素が多い植物などに集まる』
という習性があります。
実際、植物の葉に卵を植えつけることが多く、これは、
『栄養素がある場所を選んで産卵しているから』
だと言えるのです。
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葉の植物の栄養素を吸って餌にすること多いですが、
- 茎
- 根
- 種子
なども対象となっています。
また、これもカメムシが害虫とされる由縁ですが、
『野菜からも栄養素を吸っている』
のです。
ほとんどの野菜を標的にしているため、何かを育てるなら、
『カメムシが寄ってくる覚悟はしておく』
ようにしましょう。
カメムシに栄養素を吸われると、先ほどの果実同様、
『変色して、実が柔らかくなる』
ので、よく注意しておいてください。
カメムシ対策に関しては、
カメムシが出す臭いの原因と対処法とは!【優しく扱うことが必須?】
でも紹介しているので、こちらもぜひどうぞ。
生き物を餌にする個体もいる
カメムシは、基本的に草食なのですが、中には、
『肉食性の個体』
も存在しています。
また、肉食性があるカメムシは、
『草食性も兼ね備えている』
ため、草食性だけのカメムシより厄介な存在だと言えるでしょう。
肉食性のカメムシには、
- ハナカメムシ類
- サシガメ類
に多く、中には他の害虫を駆除してくれる益虫として活用されている場合もあります。
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小さいですが、これがハナカメムシとなります。
自分より小さい生き物を餌としているため、害虫駆除として活用されています。
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こちらが、サシガメとなります。
鋭い口吻で相手を刺してから、体内の栄養素を吸うのですが、
『迂闊に触ると、人でも刺される』
ため、見つけても不用意に近づかないようにしましょう。
ハナカメムシ同様、
『害虫を駆除してくれる』
ため、農家などでは好かれることが多いです。
菌類を餌にしていることもある
これは、はっきりと確認されたものではないですが、
『菌類を餌にしている』
という話もあります。
カメムシの中には、
『朽ち木に生息している個体』
もいるため、これらが菌類を餌にしているとされているのです。
ですが、この話は、
『確実に菌類を餌にしていると解明された訳ではない』
ため、現時点では、話半分で理解しておくと良いでしょう。
また、菌類を吸収することで、
『農薬などに耐性をつけている』
とされる仮説も出てきているため、カメムシと菌類は密接な関係にあるのかもしれません。
共食いすることもある
カメムシは、植物から栄養素を吸収できるのですが、中には、
『別の個体を狙っている』
こともあります。
これは、団体で行動するカメムシが、
『個体全ての栄養素を補うため』
だとされています。
カメムシは、産卵の際、
『身近に栄養素がある場所を選ぶ』
のですが、その栄養素が足りなくなる場合があります。
特に、幼虫の間は、
『行動できる範囲が限られる』
ため、栄養が足りなくなることもあるのです。
その場合、一緒に行動している別の幼虫から栄養素を取り込むことで、
『不足分を補う』
ため、共食いが起こってしまうとされているのです。
共食いをする昆虫は他にもいるのですが、
『カメムシが共食いをしている』
という話は、あまり知らない人が多いようです。
野菜や果物を育てるなら、カメムシ対策は必須
カメムシが餌にしているものを紹介してきました。
ここまでの内容を見ると、
『身近にあるものや、人もよく食べるものが餌となっている』
ことが分かります。
ですが、身近なものが餌であるだけに、
『作物被害が多くなり、害虫とされる』
ため、自分で何かを育てるなら、カメムシ対策は十分に行わなければなりません。
庭で作物を育てるなら、防虫対策は必須
自分で庭を持っている人は、
『家庭菜園』
を行なっている人も多いでしょう。
ですが、家庭菜園をしていると、
『カメムシが栄養を求めて寄ってくる』
ため、対策は必須事項となります。
庭などにおけるカメムシ対策なら、
- ミント系の植物を一緒に植える
- 防虫ネットを用意する
- 忌避剤を撒く
などがあります。
特に、カメムシは、
『ミント系の臭いが苦手』
なため、ミントが近くにあれば、あまり寄ってこなくなります。
それでも近づいてくるカメムシはいるので、追加で防虫ネットや忌避剤を使えば、
『大抵のカメムシ被害は防げる』
ので、ぜひ試してみてください。
カメムシとミントの関係については、こちらでも紹介しています。
カメムシにはミントやハッカ油で対抗しよう!【大量発生前に準備しておく】
また、防虫ネットや忌避剤に関しては、こちらがおすすめです。
しっかりと対策して、大事な作物をカメムシから守ってみてください。
屋内でも、ミントや防虫ネットは有効であり、万が一侵入したカメムシは、
『氷系殺虫スプレー』
などを使えば、悪臭を出さずに駆除できます。
屋内に侵入されたカメムシ対策に関しては、
カメムシが出す臭いの原因と対処法とは!【優しく扱うことが必須?】
で紹介しているので、ぜひどうぞ。
まとめ
『カメムシの餌にはどんなものがあるのか?【普段食べる物は意外と身近】』
いかがでしたか。
今回のまとめとしては、
『カメムシの餌は、ほとんどが身近にあるものばかり』
ということが言えます。
中には、他の昆虫を餌としていることもありますが、大抵の場合、
『栄養素が多い作物が中心』
となっています。
そのため、害虫として扱われることも多いので、紹介した内容を参考にして、
『作物を育てる人は、対策を万全にしておく』
ようにしましょう。
このブログでは、他にも、
カメムシを色別に解説!茶色・緑色・黒色などがいて、地域によって色が異なる?
カメムシと雪に因果関係はある?【カメムシが大量発生すると大雪になるのは本当か】
カメムシが人を噛むというのは本当か?【毒性があるかどうかも紹介】
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